旬のお漬物

花らっきょ    (福井県三国町)

福井県三国町の三里浜砂丘地で生産される「3年らっきょう」は、3年かけて栽培さ れ、砂糖や塩、酢だけで漬け込まれる特別ならっきょうです。これは通常のらっきょ うよりもシャキシャキとした食感で、血液の浄化や血糖値の調整などの健康効果があ ることが注目されています。三年子らっきょうは、種から収穫まで3年を要し、味や 歯ごたえが一年子とは異なります。また、らっきょうの花には特有の匂いを放つ物質 「酸化アリル」が含まれ、ビタミンB1の吸収を高め、血液浄化や循環器系の機能を正 常化する働きがあります。最近注目されている成分には、腸内細菌の成長を促進し、 血糖値の上昇を抑制する効果がある「フルクタン」も含まれています。

べったら漬け    (青森県)

べったら漬けは秋に収穫した大根を塩で漬け、麹と砂糖で発酵させた保存食。江戸時 代、恵比寿講の祭りで売られ、名前がついた。秋の大根は冬のような甘みがないため 砂糖で補われ、今は東京特産の練馬大根が主に使われる。祭りの起源は恵比寿講で食 料品を売った腐れ市から生まれたとされる。明治時代に砂糖価格が暴落し、大根の甘 みを補うために使用された。明治後期には都電の発達で重要な祭りとなり、市の売買 が相場を決定する重要な行事となった。現在のべったら漬けは練馬大根を使い、塩漬 けしてから麹と砂糖で本漬けされる。

メロン漬け    (静岡県・茨城県)

メロンの出荷用は、栄養を最大限に保つために一つの枝に一つの実を残す。メロン漬 けは、間引いた実を利用して作られ、最近は浅漬けが増えている。以前は保存食とし て粕漬けが一般的だったが、現在は物流と冷蔵施設の進歩により浅漬けの需要が増え ている。特製醤油の味わいと、素材の微妙な甘さと風味が特徴。

雪菜    (山形県米沢)

「雪菜」は、米沢市上長井地区の特産野菜「遠山かぶ」の花茎で、貴重な冬の食材。 雪の中で育ち、真っ白で歯ざわりの良い食感が特徴。伝統的に正月の食卓で愛され、 おひたしや漬物として楽しまれてきた。この野菜は雪国ならではの味わいを持ち、厳 しい冬を旬とする伝統の食材。近年、その価値が再評価されているが、かつては鉄道 や交通の発達により新鮮な野菜が入荷するようになり、雪菜の生産は減少し、幻の野 菜と呼ばれるまでになった。雪菜の歴史は上杉家の移動と関連し、古来の栽培方法が 使用されており、極めて貴重な野菜である。その特性は、大自然と雪の中での強靭な 生命力に由来し、雪国の伝統的な味と知恵を象徴している。

はぐら瓜    (千葉県房総)

「はぐら瓜」は千葉県の成田、市原、君津、外房でよく見かける瓜で、成田の名産品 として知られる。この瓜を塩漬けにし、中の種を取り除いて、しそ巻き唐辛子を入れ たてっぽう漬けが特に有名。成田山新勝寺の土産物屋では、5月の連休前後に新鮮な てっぽう漬けが手に入る。名前の由来は老人でも食べやすい柔らかい瓜、または歯ぐ きでも噛み切れる瓜からきている。手作業で1本ずつ巻くため量産が難しく、国産の 香り豊かなシソ巻き唐辛子は希少で伝統の名産品として重宝されている。